| 5-2 オーブン |
Rod Makingで最も重要な工程が火入れです。
火入れを行わないと、テーパーをどんなに正確に削っても正しい（狙った）アクションになりません。
火入れを行う事で、竹が強くなり張りが出ます。結果として、使用中に曲がり癖がついてしまう事も無くなります
（水分と油分を抜く事が目的ではありません）。この、火入れを行う道具がオーブンです。
オーブンの要件
１．温度が安定している
２．温度が均一である
３．安全性 ： 温度フューズ 過熱防止サーモスタット 漏電遮断器 等の設置
熱の伝わり方
原則 ：熱はかならず温度の高い方から低い方に移動します。熱の伝わり方には以下の三つがあります。
・対流
：気体や液体が移動することにより熱が伝わることです。一般に気体や液
体は温度が高いほど
密度が小さい（軽い）ので上昇する。
・伝導：接触している二つの物体間の熱移動のことです。伝導による熱移動量は、両物体間の接触面積
と温度差ΔＴに比例する。
・輻射（放射） ：接触していない二つの物体間の熱移動のことです。輻射による熱移動量は、両物体間の
温度差ΔＴの４乗に比例する。また、二つの物体が向き合っている部分でしか熱移動しません。
また、光のように反射する特性もあります。
例えば、太陽の熱が地球に届くのは、全て輻射熱（赤外線）です。
これを理解していないと良いオーブンは作れません。
自作可能なオーブンの種類
| 簡易型オーブン | ||||
| 方式 | 熱源 | 長所 | 欠点 | 欠点の対応策 |
| １．煙突方式 | コンロ、 電熱器等 |
構造が簡単で安価 | ・温度が均一でない（上下の温度差が大きい）
・下部は輻射を受けるが上部はほぼ輻射の影響なし |
・煙突の断熱 ・途中で上下を入れ替える或いは荒削り時にテーパーを付ける（細い方を上にして火入れ） |
| ２．オーブン トースター を改造 |
電気ヒーター | ・安価で購入できる。
・伝導・輻射（上下から）で加熱できるので均一で高温の火入れができる ・状態が見える。 ・コンパクト |
火入れ出来る範囲が狭い（３０cm位） | ・２台連結すれば火入れ範囲も２倍になる
（２台とも同じ温度になる保証はないが） |
| ３．熱風式 | ヒートガン | 構造が簡単で安価
（ヒートガンをもっていれば） |
温度が均一でない（熱風の入口と出口の温度差が大きい） | ・パイプの断熱
・二重構造にする |
| 本格的オーブン | ||||
| １．棒ヒーター式 （シーズヒーター） |
電気ヒーター | ・伝導・輻射で加熱できるので高温の火入れができる
・温度制御が簡単 |
・竹の温度が均一にならない ・温度センサーの設置位置によっては、センサーも輻射で温度が高くなるのでオーブン内温度はサーモスタットの設定値より低くなる。 |
・竹を回転させて均一に輻射を受けるようにする（ただし、構造が複雑になる） ・ヒーターを複数設置し均一に輻射を受けるようにする ・６本纏めずに、１本ずつ火入れする ・６本を平面に並べる ヒーターと竹の間にステンレスの遮熱版を設置する（ステンレスを使うことがポイント←遮熱版が温度上昇したら意味がない） |
| ２．ベルト ヒーター式 |
電気ヒーター | ・パイプ全体を均一に加熱するので、内部の温度も均一になる。
・輻射量は少ないが、全方向均一である。 ・温度制御が簡単 |
輻射の影響はほとんどない・・・欠点？ | なし |
私のオーブン紹介
特徴：銅パイプ（熱伝導が非常に良い）を使用し、ベルト状ヒーターを螺旋状に巻いている事で、パイプ温度が
完全に均一になります。パイプ温度が均一なので、パイプ内温度も均一になる（無負荷安定時の左右の温度差１℃以下）。更に、竹が受ける輻射熱も均一である。ただ、パイプとパイプ内部温度差が小さいので輻射熱はい。
また、ＰＩＤ制御（単純なON/OFF制御ではない）をしているので無負荷安定時の温度変動は０．５℃以下です。
概略構造図
配線図
主要部品表
| 名称 | メーカー | 品名 | 仕様 |
| ヒーター | 坂口電熱㈱ | リボンヒーター | １００Ｖ ３００Ｗ Ｌ２０００ |
| 温度調節器 | 東邦電子㈱ | デジタル温度調節計 ＴＴＭ－００４ Ｐ-Ａ | PID制御、ＳＳＲ用出力 |
| 温度センサー | 熱電対 | K-type （保護管入り） | |
| ＳＳＲ | ソリッドステートリレー | １５A以上の容量の物 | |
| 過熱防止サーモ | バイメタル式温度スイッチ | ３００℃以上でOFF |
これらの部品は、坂口電熱㈱秋葉原店で購入しました。
（上記制御BOXと同等の完成品も売っています。ただし高価）